なぜ「働きやすさ」なのか

職場環境整備

1.はじめに

皆さんはじめまして、そうすけと申します。

ふだんは2,000人規模の工場で人事マネージャーをしています。1994年(平成6年)にスタートした私のビジネスキャリア30年のうち、人事としての経験は約20年です。既に50歳を過ぎ、勤め人としての時間も残りが見えてきました。

その中で身に着けた経験やじくじりなどについて、自身の身近にいる「直接伝えられる人々」にだけでなく「今、まさに悩みながら奮闘している人々」に向けて、言語化した形式知の形で共有し、少しでもお役に立ちたいと思い筆をとることにしました。

私自身もラインに部下がいるようになって約10年。20名弱の部下を預かるようになって3年とまだまだ成長途上の身です。
これまでの経験の共有だけでなく、刻々と変化する外部環境や、所属企業の方針変更に翻弄され、悩みながらも立ち向かっていくような内容についても共有させていただければと思っています。

ただ、典型的な日本企業で起きていることですので、先進的な企業の人事の方やコンサルの方から見れば「なんだそれ」みたいなところも多々あると思います。それでも、これが私の直面する現実の姿ですので、笑って許していただくか、厳しいご指導をいただければ嬉しいです。

2.働きやすい職場環境とは

なぜ「働きやすさ」を考える必要があるのか

「働き方改革」と言われて久しいですね。長時間労働や男性の育児休業取得の推進の難しさ。日本社会の性役割意識がなかなか変わらないこと。セクハラやパワハラを代表とする「ハラスメント」などなど、直接的であれ間接的であれ「働きやすさ」や「職場環境」に関することがらについて、報道やネット上で見ない日は無いと言えます。(良い話ではないことが多く残念です。)

いま「働きやすさ」とは、少なくとも、次のような観点で考えなくてはならないでしょう。

  1. 日本は世界的に見ても少子化の先進国と言える状態であり、国を挙げて働きやすさを向上させなくてはいけないという危機感があること。
  2. 企業もこうした環境の下、未来の労働力確保に向けて、選ばれる存在になるためには、働きやすさから逃れられないこと。
  3. 各職場においても、組織目標の達成に向けて、高い生産性を持ったチームになって行く必要がある中で、メンバー相互が働きやすい環境になるように仕向けていかなくてはならないこと。

国家にとっても企業にとっても働く個人にとっても、本当に重要なことで、身近な問題であることはお分かりいただけると思います。

ただ、国家や企業となるとちょっと話が大き過ぎるので、話を職場に絞ってもう少し掘り下げていきます。

3.職場の機能と生産性と働きやすさ

職場の機能と働きやすさの関係

会社や職場は何らかの「価値」を提供するために存在していると言えます。価値工学※においては、価値(Value)は機能(Function)÷コスト(Cost)で表されます。

※価値工学とは

VE(Value Engineering)とは、製品やサービスの「価値」を、それが果たすべき「機能」そのためにかける「コスト」との関係で把握し、 システム化された手順によって「価値」の向上をはかる手法です。

日本バリュー・エンジニアリング協会 https://www.sjve.org/vecan/ve

分母側のコストは文字通りのものですが、これは、やらなければならない「業務の要求量」とそれを実行する働く人の「(労働の)時間当たり単価」に分解することができます。

分子側の職場が発揮する機能は、機能を発現する「人の能力」と、特に仕事のバトンを受けた後工程の人が「進めやすい仕事の仕方」、そしてそれを進めていく上での「働きやすい職場環境」に分解できるという仮説を立てました。

つまり、どれだけ能力開発に投資をし、業務効率化やデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めても、働きやすい職場環境が1を割ってしまえば、生み出される価値は減少していきます。
ましてや、ゼロやマイナスになれば、価値はゼロ以下になります。
(どこか2項目がマイナスであれば掛け算したらプラスになるんじゃないのか?という議論は、ここでは避けたいと思います。)

お分かりでしょうか?
あくまで仮説ですが「働きやすさ」とは、職場が発揮する機能を左右する重要な因子だと言えるのです。

生産性との関係

また、生産性とは次の通り定義されます。

「生産性とは、あるモノをつくるにあたり、生産諸要素がどれだけ効果的に使われたかということであって、それを割合で示したもの」

日本生産性本部 https://www.jpc-net.jp/movement/productivity.html

合わせて、次の式で表せるとしています。

価値工学が表すものも、生産性が表すものも、構造は同じです。
よって「働きやすさ」の向上なくして、価値も生産性も上がらないということが言えるのです。

式のまとめ

式をまとめると次の通りです。

どんなに頑張って能力開発を行っても、仕事の仕組みを改善しても、コストを下げても、それを発揮する職場環境が「働きやすい」ものでなければ、価値を向上させることはできないのです。
これが、私が働きやすさの向上にこだわる理由であり、企業人生活をかけて検討~実証していきたいと考えている理由でもあります。

4.終わりに

今回のこの記事だけではわかりづらいことや説明不足なことも多々あると思います。
ここでは、私がなぜ「働きやすい職場環境」に着目しているのか、どうしてそこに繋がる施策を考え、実行するのかを知っていただくための頭出しの位置づけとさせていただきました。
これから、少しずつになるかもしれませんが情報発信をして行きます。きっと共感をいただける内容にしていきますので、ぜひご期待をしていただくと共に、応援していただければ幸いです。

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